
現代写真研究所
2022入江ゼミ写真展
さくひん集
私たちは、これまで撮影のテーマを「共生」として写真展を開催してきました。その中で自然や動物たち、人々と共に生きることが改めて重要だと感じています。自然の驚異と美、郷土や町、時の世相をカメラで捉え取材を続け、平和で安全、豊かな自然環境を未来にわたって次世代に残すことの大切さを学んできました。共生は「自分の意にそぐわないものを破壊し、抹殺する」ことと対極の関係にあります。いま、「軍事侵略」が現実に起こされていることは、本当に悲しいことです。
この共生をテーマにした写真で、これまで学んできたことを表現できればと思います。
新型コロナ感染防止に努め、注意しながら各自のテーマに沿って撮影に取り組んできました。
今回の展示作品は、「色」の情報をそぎ落として、テーマをより深く追求するべく、モノクロ写真に仕上げてみました。ご覧いただき感想を、ぜひお寄せください。私たちの今後の撮影に生かしてまいりたいと思います。
写真をクリックして拡大してご覧ください。

個々の作品は撮影者の著作物です。
許可のない複製・転用を禁止します。
©2022iriezemi.All Rights Reserved
『屋久島』 特別出展 入江 進
コロナ禍で延期していた屋久島に行った。痩せた土地ではあるが数千年の時を経ても、今なお生き続けている屋久杉が出迎えてくれた。私は決して信心深くはないが、「神が宿る巨樹」を前にして手を合わせた。
撮影地 鹿児島県 尾久島
『富岡町 応急仮設住宅』 稲月 絹子
2011年12月、農業試験場用地に富岡町応急仮設住宅152戸が建設された。2020年3月、住宅全面解体の話が進むが行先の定まらない方が数人居た。2021年11月、使用不能な一棟を残すのみとなり、住人は居ない。この地域は数年前から「クリニックタウン」として開発が進み、仮設住宅跡地は大型病院が建設されるという。
撮影地 福島県郡山市

『公園の装い』 伊藤 亨
日中 の公園は、人が賑やかに遊んでいる。喧騒が終わり人が少なくなると、公園は静けさを取り戻して装いを変える。

『ありし日の松之山』 榎本 佳恭
緑豊かで四季折々の山菜も豊富、ホタルも舞う新潟県松之山。雨水や雪解け水に依存する「天水田」で米作りに勤しみながら、月刊誌に写真と文章を連載し、料理作りにも長けておられた写真家・橋本紘二さんが2020年3月逝去。大変お世話になりました。
撮影地 新潟県松之山

『東京暮色』 岸本 剛紀
戦時 中に東京で生まれ、それ以降も東京以外の生活も土地も知らない。終戦後の生活苦や混乱もあったがそれを苦労と思った記憶もない。勤め人になって残業、居酒屋の日々、あれが高度経済成長であったか。歳を重ねると昔育った街が自然と思い出されるようになる。詠嘆交じりになるのは正しく歳のせい。

『比叡山を歩く』 吉川 隆
琵琶 湖をのぞむ比叡山を5日間かけて歩いてきた。織田信長の焼き討ちから400年以上経つが、そこかしこに痕跡が残っている。朽ちたお地蔵さんや、女子供まで皆殺しに合った慰霊の石碑があちらこちらに立っている。幾多の戦の惨禍をなめた人が、今もなお繰り返し続けている事に怒りと悲しみさえ覚える。
撮影地 京都滋賀 比叡山

『不安な日々』 宮寺 幹夫
住まいのあ る国分寺市を中心にして、コンパクトカメラを常に持って散歩を心がけている。いつマスクがとれる日が来るだろうか。

『脇道巡り』 原田 敏朗
ぶらりと散歩に出かけると気になった脇道に足が向く。道の先にある見慣れない情景を求めて一歩踏み出す。そして出会った心惹かれる光景や危うさのようなものの気配を感じると、シャッターを切る。
2021年3月~2022年2月

『川口元郷・鋳物工場の今』 江藤 正弘
元郷は鋳物の生産地として明治から昭和にかけて栄えた。「キューポラのある街」として映画にも取り上げられた。都市化が進み高層のマンションや建売住宅が増加した。芝川沿いにわずかながら鋳物工場を見ることができる。
撮影地 川口市元郷

『高輪築堤』 清水 康子
2019年にJR東日本が東京都港区で計画を進めている品川開発プロジェクト。エリア内で約150年前に敷設された高輪築堤の一部が発見された。計約800メートルの遺構が確認され、当時の姿が良好に残っている。計約120メートルが現地保存され、2021年9月に史跡に指定された。
撮影地 東京都港区

『昭和残像』 深澤 大三
秩父 鉄道は旧上武鉄道から大正5年に社名変更し、昭和3年3月羽生駅と三峰口駅間の全線を開通した。現在は客車用と貨物専用の路線を担っている。昭和時代に建てられた駅舎が現存し、また昭和63年から観光用に蒸気機関車を運行、レトロな雰囲気が味わえる鉄道路線である。
